OMEGAに遺るコアークシャル、発明者ジョージ・ダニエルズ博士の功績【後編】

マン島という、聞き慣れない島でダニエルズ博士は晩年を過ごします。
しかし彼はいわゆる【隠居生活】をしていたわけではありません。マン島はアイルランド島とグレートブリテン島の間に位置する島です。国際法上はイギリス領土となっていますが、イギリス政府から独自の自治権を認められた島です。通貨はポンドを使用していますが、歴史的に見てもアイルランドでも無い、イングランドでも無い、統治権も何度か様々な領主間で移り変わった島です。風光明媚なこの島は、歴史的な史跡、建物も多く、デザイン性に優れた屈強な14世紀の石造りの住宅に現在も人が住んでいて、物作りの人にとってはインスピレーションが湧いてくる環境の島です。
この島に博士は時計工房を設けて、時計の製作を亡くなるまで継続していました。タックスヘイブンとしても有名な島で、それゆえ外部からの産業や貿易には寛大です。時計産業も輸出入で関税の障壁が少ない事は好ましい事でしょう。ダニエルズ・スミス博士の後見人である時計職人、ロジャー・スミス氏は自身のWebサイトで1987年に時計学校でダニエルズ博士が訪問された時、前回の記事で紹介した懐中時計『スペーストラベラー」を見て開眼したと書かれています。Webで彼の事を検索すると何人か彼の事を書かれている方がいます。それらを総合するとダニエルズ博士の最後の愛弟子みたいですね。それであれば後見人になるのもわかります。
彼は博士と同じ、マン島の『ラムジー』という街で時計工房を構えて何人かの職人と共に全て(パーツ、その素材に至るまで全て)手作業で時計を製作しています。彼は現在自身のブランド『ROGER W SMITH』を2001年に設立、【THE DANIELS METHOD】という博士から教わった方法で1人の時計職人が全てを終始一貫して、手作業で製作する手法です。原料から部品を全て工房で製造、組立、仕上げまでを行います。
そのため生産本数は僅か『10本/年』の限定生産です。現在ROGER W SMITHのラインナップはSeries1、Series2、Series3、Series4、Open Dial、The Great Britain、Daniels’ Anniversaryの7ラインナップです。