【知ってるようで知らない知識】アニュアル(年次)カレンダーってなに?

2016年バーゼルで発表された、パテック・フィリップの年次カレンダー誕生20周年記念モデル
「Ref.5396G アニュアルカレンダー」。ブレゲ数字がダークグレーの文字盤に映えます。
価格は予価:5,390,000円(税抜)なり。
『アニュアル(年次)カレンダー生誕20周年』ということは、逆にいえば、まだ世に出て20年しか経っていないということになります。1800年代からはじまる長い時計の歴史の中では後発組の仕組みとなります。
見た目的には、月と曜日と日付そして月齢(ムーンフェイズ)機能がついているだけのような気がしますが…どういう仕組みで、何が凄いのでしょうか?
今回は歴代のパテックフィリップの製品を通じて、アニュアル(年次)カレンダーの魅力についてご紹介したいと思います。1か月のうち、31日の日数のある月を大の月(だいのつき)、30日もしくはそれ以下の日数の月を小の月(しょうのつき)といいます。
(小学生のころ「西向く士(サムライ)、小の月」なんて学校で覚えさせられた人も多いと思います。握りこぶし派の人も多いですかね?)
1年12か月の中で、小の月は「2月4月6月ときて、なぜか8月を飛ばして9月そして11月」と若干イレギュラーな並びになっています。
なぜこのようになったか?という話は、長い歴史の中にあるため割愛させていただくとして、
この「小の月は31日をすっとばして、1日がくる。7月&8月と12月&1月は大の月が続く」部分を、機械式時計のような歯車とバネだけで制御するような仕組みをつくる、となると非常に複雑になりそうです…。
これが、大・小・大・小…と31日と30日が交互にくるようなら、また話は違ってくるとも思うのですが…。代表的な機械式時計のムーブメント(機械)。
一番外側にある、1から31まで書いてあるリング状のパーツが「カレンダー・ディスク」といって、
これを深夜0時に1回、ちょっと動かすことで日付を表示する、というのが基本的な考え方です。そんなワケで、ほとんどの機械式時計は、大の月も小の月も区別することなく、単純に1か月を31日まで表示して、そして1日に戻る、という日付の表示方法となっています。
上の画像のようなカレンダーディスクを用いた日付の表示方法が一般的です。
ですから、小の月の時は、オーナーが自分の手で30日を過ぎたら31日を飛ばして1日まで調節してあげる必要があります。
これは、ロレックスのデイトジャストも、オメガのスピードマスター・デイトも、その他の機械式時計もみな同じです。
月・日・曜日をそれぞれ表示する「トリプルカレンダー機能」のある時計は、月と日のそれぞれ調整する必要があります。
それが機械式時計の味といえば、それまでなんですが、まぁ…少々手間であることは事実。「アニュアル」とは「年に1回」という意味。日本語だと「年次」。
「アニュアル・カレンダー」「年次カレンダー」とは年に一回、3月1日に日付の修正さえすれば、あとは
『月の大小を機械が判別し、自動で日付を先送りを1年間やってくれる』とっても賢い仕組みです。
(※2月末のみ調整が必要になります)
もっとも、12か月の名称も日付修正と連動して自動的に変更されるので、つねに「何月何日」と正確に読み取ることができます。
『5月は31日まで表示して、6月は30日まで表示するんだけど、7月と8月は2か月連続しで31日まで表示する』というのを、ぜ~んぶ自動でやってくれるわけです。
小さな歯車とゼンマイとバネで、ですよ?スゴくないですか?年次カレンダーの秘密は、「カム(cam)」といわれる、特殊な形の歯車にあります。
「カム」とは、通常の歯車がキレイに円のカタチにギザギザしているのとは違い、円の中心から歯までの距離や歯のついている間隔がバラバラなのが特徴です。
歯車とも呼べないような、卵のカタチやハートのカタチをしているカムもあります。
年次カレンダーの心臓部は、↓画像で赤く〇で囲んでいるパーツ、「大の月&小の月制御カム」です。
ちょっと大き目の凸凹が不規則にならんでいるカタチをしているのが特徴です。
で、この凸凹のうち「5つある凸の部分が小の月(30日)」に「凹の部分が大の月(31日)に対応しています。凸の部分が2月、4月、6月、9月、11月の部分のうちいずれか、ということですね。
そして、広めの凹の部分が2か月連続で大の月になる部分は、7・8月か12・1月のコンビです。
下の画像だと、右側の広めの凹がくる前には、大小交互の月が連続3回あるようなので、ここの部分は7・8月に対応している部分だというのがわかります…かね?月末に1度、日付が30日付近になると、この凸凹パーツ周りがそわそわしだます。
そして、小の月であれば「大の月&小の月制御カム」が動きしたときに、カムの凸型の突起の部分が、すぐ隣でぴったりハマっている「バナナ型のアーム(月表示ロッキングアーム)」をグッと押し出します。
押されたバナナが左右に振れ、反対側のデベソの部分が、今度はバナナの隣の「ヒヨコのくちばし(月表示ロッキングアーム回し爪)」に引っ掛かりこれを回します。そうすることで、一気に2日分の日付が動くようになり、31日をとばして1日に切り替わるようになります。