俺にアラン・シルベスタインについて説明させてくれ。

元々はインテリアや工業デザインの仕事を幅広く手掛けていたらしい。
自身のブランドを立ち上げたきっかけは、「使っていたクロノグラフが壊れ代りを探したが、いいのがないので自分で作ろうと思った」とのこと。決して本業が下火だったからではないと言いたいようだ。

1987年にわずか3モデルの奇抜なデザインをひっさげ意気揚々とバーゼルワールドデビューを果たすが壮大にスベる。ただこの時唯一買い付け契約を結んでくれたのが日本の会社だった事に商機を見出し、この日以降“親日家”を自称する。幾何学的なモチーフと鮮やかな色使いは1919年にドイツ・ワイマールに設立された総合造形学校「バウハウス」の影響を受けているという。配色的にはもはや影響どころではなくコンセプトという言葉の方がしっくりくるが、その賑やかな文字盤からはいわゆる無駄のない美しさというか、合理主義・機能主義といった印象を全く受けないのは私が童貞だからかもしれない。

この配色にはそれぞれの機能を塗り分けることで視認性を高めるという狙いがあるらしく、そう言われると実用的なのかなという気もしなくもないのだが、せっかく高まった視認性も奇抜なデザインに撹乱され落ちてしまっているように見えるのは私だけであろうか。

バーゼルワールドには数年出展していたものの人知れずフェードアウト。その後は全世界の代理店に自ら赴き時計を売り込むというまるで演歌歌手のドサ回りのようなシステムで活動を続け、2012年3月を過ぎた頃、何の前触れもなくHPの更新が止まり生産活動も休止した。

2015年にスイスの時計メーカー“ロマン・ジェローム”の「サブクラフト・チタニウム」という時計をデザインしている。コンプリケーションモデルから普及型までラインアップがあり、年間生産数は全モデル合わせて2000本程度、国内には毎年200~300本入荷していたらしい。日本の正規代理店はモントレソルマーレ株式会社 (旧:太洋商会)。2016年現在では正規代理店でのみ修理を受け付けており、修理部品は残っている分しか対応できないという。

アラン氏曰く、「私が理想とするのは、優れた機能と美しいデザインが結実した時計。真に美しい椅子が座 り心地がいいように美しい時計は使い勝手に優れ、腕にして快適なはずです。」 だそうです。
優れたアフターケアと美しい去り際も理想に入っていればなおよかったですね。教えてgooにメンテナンスに関して丁寧に解説されている回答がありましたので貼っておきます。「形態は常に機能に従う」がバウハウスの理念というかモダニストたちの合言葉だったそうですが、アランシルベスタインの時計を見ていると「形態が機能を“従えている”」という表現の方が当てはまる気がしますけどね。まあ私なんかその辺に落ちてる石コロみたいなもんですから、石の感想なんて適当に聞き流してください。

本格アートウォッチという歴史ある一流ブランド様方が過去足を踏み入れることのなかったフィールドを、未来人ジョンタイターのごとく開拓し消えて行ったアランシルベスタインの名は今後も語り継がれていくでしょう。

あ、まだ消えてはないか。